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映画『容疑者Xの献身』悲しいけど傑作 ガリレオ映画第1弾感想・評価

映画『容疑者Xの献身』悲しいけど傑作 ガリレオ映画第1弾感想・評価

『ガリレオ』の最初の映画『容疑者Xの献身』て悲しいの?観るのツラい?

確かに悲しいよね。でも何度も観てます♪

この記事では2008年公開の邦画『容疑者Xの献身』についての評価・感想について分析・紹介しています。

今なお評価の高い邦画『容疑者Xの献身』は人気ドラマ『ガリレオ』の劇場用映画第1作ですね
確かによくできてますよね

『ガリレオ』映画第1作『容疑者Xの献身』レビューサイトでの評価 悲しさに魅せられて

まずはレビューサイトでの映画『容疑者Xの献身』への評価を総合的に見てみましょう。

レビューサイト 評価点数
Yahoo!映画 4.2
映画.com 3.8
Filmarks 3.8

※2022年8月8日現在 各サイト★5点満点中の評価点です

個人的な感覚ですが、3.0超えたらフツーに面白い。
3.5超えたらけっこう高評価。4.0超えたらか~な~り!高評価。

という感覚です。

あくまで他者の評価の平均ですから最終的な感想は個人的なものですが、こういったレビューサイトの反応も大きく参考にはなりますよね。

この、映画『容疑者Xの献身』の評価は、厳しめの人が多い印象があるYahoo!映画で「4.2」ですから、これはめちゃくちゃ評価高いですよ。

3.8も実はかなり評価高いですけどね。

『ガリレオ』映画第1作『容疑者Xの献身』の低評価 悲しさ以前に

まず、低評価からどんな意見があるのか見ていきましょう。

…と言っても低評価を探す方が難しい
この作品は本当に評価が高いことの証ですね。

そのぶん、低評価の人は本当に合わなかったようで、少ない中でも徹底的に低評価という人が多いですね。

「いい話じゃないのに感動風」「オチが釈然としない」「天才のやることじゃない、矛盾している」
「原作を浅くしちゃった」「ミステリーとしておかしい」「犯人の行為が許せない」

…と、だいたいこんな感じ。

よくよく見ると、「いい話じゃないのに感動風」「オチが釈然としない」「天才なのに矛盾している」というのは最後の「犯人の行為が許せない」というところに帰結しそうですね。

面白いなと思うのは、こういう感想を言えるということはかなり登場人物に感情移入しながら鑑賞されたことが予想されることです。

つまり「めっちゃ入り込んでるやん!」と(笑)

あとは、純粋に謎解きミステリーとして楽しみたかった人にとってはヒューマンドラマ重視のテイストが期待外れだったのかもしれませんね。

他には、原作に特別な思い入れあって、思い入れの部分が思うように映画に出ていなかったのかなと感じさせる感想も見受けられました。

『ガリレオ』映画第1作『容疑者Xの献身』の高評価 なぜ悲しいのか

圧倒的に多いのが高評価です。

「堤真一の演技が凄すぎる」「質が高い」「年齢を重ねてからわかってくる」「悲しいのに何度も見てしまう」「原作を超えている」「トリックがわかっていても何度も観てしまう」

まず一番多いのが、堤真一さんの演技への絶賛です。

クライマックスの悲しさは物語や明かされる秘密もそうですが、堤真一さんの演技が本当に凄いんですよね。

最後の演技もそうですがそれまでの演技の積み上げも。

レビューの中でどなたかが「無」から「黙」への演技の変化と表現されていました。

確かに、「無気力、無表情、無言」から「確固たる意思を持って黙る」への変化。
同じ無表情で物静かでも、内面は真逆。
この変化を絶妙に演じ分けているんですよね。
なるほどと思える表現でした。

原作から演技も演出も含め完成度が高い。
「質が高い」と絶賛される方も多いです。

ハッピーエンドではなく悲劇。
なのに何度も観てしまうという感想にはわたしも同意です。

面白いのは「原作を超えている」という評価も非常に多く目立った点ですね。
低評価の中にあった「原作が良いのに映画は浅くしてしまった」という意見と正反対なのが興味深いですね。

「トリックがわかっていても何度も観てしまう」という意見もありましたが、
それはつまり謎解きミステリーとしてではなくヒューマンドラマの部分が心に響くからでしょう。

特筆すべきなのは、『ガリレオ』のドラマを一切観ていない人、国内のドラマや邦画をそもそも見ない人、大手テレビ局にありがちな大人気ドラマの映画化がそもそも嫌いな人、福山雅治さんを嫌いな人…

そのような理由でこの作品を敬遠していた人たちが、「観ていなかったことを後悔」するレベルで絶賛していることです。

そういう人たちの評価・感想はとても印象に残りました。

『ガリレオ』映画第1作『容疑者Xの献身』の予告の失敗と成功

映画『容疑者Xの献身』の予告編は、テレビドラマ『ガリレオ』第1シーズンから1年後に公開されました。

『ガリレオ』が帰ってきた!しかもスクリーンに!
ってみんな思ったでしょう。

この予告編はテレビの『ガリレオ』の雰囲気に合わせて作られています。

実際の本編の雰囲気はこの予告編からは予想ができません。

それが、もっと軽快なミステリーを楽しみたかった人を「期待を裏切られた」という思いにさせたのでしょう。

一方で、一切ネタバレしていません。
このあたりはさすがです。

結末を知っても何度も観たくなる作品ですけどね。

『ガリレオ』映画第1作『容疑者Xの献身』みんな感想

では、Twitterで観られる感想をいくつかピックアップしてみますね。

 

映画『容疑者Xの献身』とは?

いちおう、映画『容疑者Xの献身』とはどういう作品なのか、軽く紹介しておきます。

映画『容疑者Xの献身』のあらすじ

冬のある平日に川沿いの公園で発見された裸の男性の死体。状況から首を絞められた他殺体と断定されますが顔も指紋も潰されていました。
しかし、DNA鑑定で被害者の身元はわかります。警視庁の草薙(北村一輝)と内海(柴咲コウ)は別れた元妻の花岡靖子(松雪泰子)を疑いますが彼女にはアリバイもあり尻尾を掴めません。帝都大学の物理学者で過去何度も難解な事件を解き明かしてきた友人、湯川(福山雅治)に相談を持ち掛ける草薙と内海。
湯川は花岡の隣に住む参考人の石神(堤真一)が大学時代の友人であることを知り、石神と再開するのでした。
再開を喜ぶ湯川と石神でしたが…

映画『容疑者Xの献身』の成り立ち

映画『容疑者Xの献身』は2007年にフジテレビの月9ドラマ『ガリレオ』第1シーズンの大人気を受けて翌2008年に映画化された劇場版映画『ガリレオ』シリーズの第1作です。

原作は東野圭吾さんの短編集『探偵ガリレオ』シリーズの中での初の長編小説『容疑者Xの献身』です。
この小説は第6回本格ミステリ大賞、第134回直木三十五賞を受賞しているそうです。

そもそも東野圭吾さんの作品の中でも特に評価の高い小説のようですね。

『ガリレオ』映画第1作『容疑者Xの献身』わたしの感想 悲しいけど心地よい

わたしの個人的な感想・評価も簡単に書かせていただきます。
映画を楽しむための参考にでもなれば幸いです。

特別な体験…没入感

映画は体験…だと思っています。
映画『ガリレオ』シリーズに対してはまさにそれを感じます。

没入感が凄いんですよね。

迫力のある娯楽アクションやSF、アドベンチャー作品などは「大スクリーンで観なきゃ!」という気持ちにさせられます。
逆に、映像的に地味なヒューマンドラマやミステリー物はテレビ画面やPC・タブレットでの動画視聴でもいいや…という感覚をどこか持っています。

たぶんこれからもその基本的な感覚は変わらないと思います。

しかし、わたしは『ガリレオ』の映画シリーズに関しては劇場で観て本当に良かったと思っています。
恐らく、劇場という特別な空間で集中して観れたからこその没入感だったのでしょう。

それが妙に心地よく、自宅で観返すたびに劇場で観た時の感覚を思い出せます。

映画の世界を一緒に体験して戻る…みたいな感覚。

3Dも4DXも要らない、良い小説を読んだ時のような没入感に近いものがあるかもしれません。
物語は悲劇ですが、この没入感、体験感がどこかしら心地いいんですよね。

映画『容疑者Xの献身』に関しては冬の街が舞台です。
季節感の感じさせ方も一貫していて自然と没入できたんです。

ご自宅で観るときもできるだけ静かに集中して観れる環境で観た方が良いでしょう。

悲しい友情

「僕に友達なんていないよ」という石神。
友人として石神と接する湯川にはこんなに寂しい言葉はありません。

でもやっぱり、これも友情のドラマなんですよね。
もっと前に連絡を取り合って、こんなことになる前に打ち明けてもらえる関係になれていれば…

似たような悔しさはわたしも経験したことがあります。
以前に2~3回観ていますがその時はまだ経験していませんでした。

今回改めて見直して、湯川のやるせなさがリアルに感じられてたまりませんでした。

原作のシリーズを読んでいないのでわかりませんが…
恐らく、感情的に辛くて泣き崩れるような湯川の姿はこの作品でしか見られないのでは?

ドラマ『ガリレオ』でも登場人物の背景や心情は描かれますが、基本は軽快なミステリーものです。

映画版ではハッキリと深い情緒的な方向へ演出し分けています。

悲しみを分かち合える友人

ドラマ『ガリレオ』では湯川に振り回されていた内海。

この映画では内海も湯川にとっての「友人」として認められているのがわかります。

苦悩する湯川が「刑事としてではなく友人として聴いてくれるか?」と内海に言いました。

自身の正義感と湯川の心を思いやる内海も観客の心をグッと掴みます。

天才の計算を狂わせるのもの

お話の組み立て方も犯人が仕掛けた謎も、それが解き明かされていく構成も見事です。
秘密の正体も衝撃的で心揺さぶられる。

でも決して「感動的な美談」や「いいお話」ではないんですよ。

だから悲しい。

それほどに「恋」や「愛」は人を盲目にしてしまうもの。

そういことをしんしんと凍てつく冬の街を舞台に情緒たっぷりに、静かに激しくショッキングに描き切っている。

それがこの作品の評価が高い理由だと思います。

ガリレオ映画第1弾『容疑者Xの献身』感想・評価まとめ 悲しいけど傑作

低評価をつけている人も実は高評価以上に作品に入り込んだんじゃないかな?
という印象を持ってしまうほどの高評価作品。

「モヤモヤが残る」「美化しすぎ」ということで低評価にした人はもう一度、客観的に見直してみたらどうでしょうかね?

美化されているように感じるからモヤモヤするんだと思うんです。
確かに強烈な印象で描かれるし、感情をもっとも揺さぶられる=感動させられる箇所がある。

でも感動=美しいからではないですよね。

心が揺れ動く、そのふり幅の問題であって、それは「いい」「わるい」ではない。
だから「感動しちゃダメだ…こんなの」「間違った行為を美化してるんだから」とモヤモヤする必要はないはずです。

冷静に結末を考えれば「美化していいことではないから」湯川や内海が決着をつけさせたんですよね。

そこがたぶんごっちゃになっちゃってるんだと思います。
これも、相当作品に感情をかき乱された証拠ですね。

感情のほうが強すぎて冷静になれていない。
天才石神が大前提の当たり前のことを見落としてしまったように。
つまりこの作品が美化していないことを冷静に気づけていない時点で、石神の矛盾を自ら体現していることになる。

恋や愛、もっと大きなくくりで「感情」は、人をそういうふうにさせる。

ようするにそれだけ、観客の感情を揺さぶる作品だとうことでしょう。
そう考えると凄くないですか?

悲しい作品ですが、それでも傑作ですね。

 

全ての物語のために

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