映画【シャン・チー/テン・リングスの伝説】とジャッキー・チェンと香港映画

『シャン・チー/テン・リングスの伝説』を観てきました!

マーベル映画に香港映画界がガッチリと協力した作品って感じでしたね!

ジャッキー・チェンの映画を連想した人も多いようです♪
この記事では、マーベル・シネマティック・ユニバース(※以下MCU)=いわゆる「アベンジャーズ」シリーズの最新作『シャン・チー/テン・リングスの伝説』とジャッキー・チェンや香港映画との関係について紹介しています。
映画 シャン・チー/テン・リングスの伝説 について
映画 シャン・チー/テン・リングスの伝説 とは?

©Marvel Studios 2021
マーベル作品の中の1作品
MCU作品、フェーズ4の2作目にあたります…っていってもなんのこっちゃ?って感じですね
MCU作品といえば『アベンジャーズ』シリーズと『アベンジャーズ』に出てくる各ヒーロー単体での映画群の集まりのことですね。
記憶に新しい大作『アベンジャーズ/エンド・ゲーム』で大きく一区切りつきました。
すでにMCU作品は20作品以上出ていて、『アベンジャーズ/エンド・ゲーム』はフェーズ3のクライマックスです。(※クライマックスではありましたが実はフェーズ3の最終作品は『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』です…あまり気にしなくていいけど)
フェーズというのはMCU一連の作品群のまとまりのことです。最初の『アベンジャーズ』までがフェーズ1、『アベンジャーズ』2作目の『エイジ・オブ・ウルトロン』あたりとその周辺の作品群がフェーズ2、『アベンジャーズ』3作目・4作目の『インフィニティ・ウォー』『エンド・ゲーム』とその周辺の公開作品がフェーズ3。
MCU全体を3幕構成として考えたときの1幕ずつがひとフェーズというふうに考えるとわかりやすいでしょう。
つまり超大雑把に言えば、『アイアンマン』や『キャプテン・アメリカ』などが活躍した『アベンジャーズ』シリーズは『エンド・ゲーム』で大きく一区切りついています。
で、2021年6月に公開された『ブラック・ウィドウ』から新しいフェーズ4が始まったので『シャン・チー/テン・リングスの伝説』がフェーズ4の2作目ということですね。
MCUは新たな第1幕が始まったばかりです。
心配しないで!他の作品を知らなくてもいい!それがMCUの凄さ
「MCUはすでに20作品以上ある!?…全部つづいてるの!?…そんなの今から追いつけない!!」
という声が聞こえてきそうですが、ご心配なく。単品で楽しめます。
MCUはマーベルスタジオ作品でマーベルスタジオはディズニースタジオの傘下にあります。マーベルもディズニーもさすがですよ。
確かに世界観は全作品繋がっていますが、どの作品も単品として楽しめるように作られています。
全MCU映画に共通しているこのシリーズの凄さです。
『シャン・チー/テン・リングスの伝説』は大チャンス
『シャン・チー/テン・リングスの伝説』はシャン・チ―というヒーローの初登場作品です。つまり『シャン・チー』シリーズの1作目。
例えば『アイアンマン』なら『アイアンマン2』と『アイアンマン3』があるわけですが、普通は『2』や『3』から観ようとは思えないでしょ?
それでも『2』や『3』から観ても面白いですよ!っていうのがMCUの凄いところなんですが、そんな世界観の作品群の中でシリーズ第1作が作られたわけですから、MCUを始めて観るなら今がチャンス!なんですよ。
映画 シャン・チー/テン・リングスの伝説 とジャッキー・チェンと香港映画
映画『シャン・チー/テン・リングスの伝説』に集結した香港映画人
映画『シャン・チー/テン・リングスの伝説』はカンフーアクション映画です。
カンフーアクション映画を世界に広めたのは誰でしょう?
もちろんブルース・リーという偉人の存在を忘れてはいけないのですが彼が切り開いたのはカンフー映画でした。武術家であり哲学者でもある彼のカリスマ性には今なお根強いコアなファンがいます。
香港映画を世界に知らしめたのも当然1973年の『燃えよドラゴン』という作品があってこそですよね。
でも、カンフーだけではなくアクション映画として香港映画を世界に広めたのはジャッキー・チェンを始めとした今なお活躍する香港映画人たちでした。
そんな香港映画人がハリウッドに集結してこの『シャン・チー/テン・リングスの伝説』を支えています。
映画『シャン・チー/テン・リングスの伝説』のキャスト
ジャッキー・チェンに映画の面白さを教わり、香港映画とハリウッド映画を同列に観てきた映画ファンとしては、『シャン・チー/テン・リングスの伝説』のキャストには感激しっぱなしでした。
主演 シム・リウ
この人は初めて見た…という人も多いでしょう。わたしもです。
シム・リユはカナダの俳優さんなんですね。スタントマンでもある。
テレビドラマには結構出ているようですが、映画は『パシフィック・リム』にエキストラとして出たことがあるくらいらしいです。だから今回は大抜擢ですよね。
演技はもちろんですが、身体能力ですよ凄かったのは。いろいろな武術の動きを元気ハツラツに見せてくれました。
助演 トニー・レオン
そんな無名といっていいシム・リウ演じるシャン・チーの存在を劇中で主役たらしめる重要な仇役を演じるのがトニー・レオンです。シャン・チーの実の父シュー・ウェンウー役。
香港映画にあまり詳しくないけど知らなくもない…という人ならトニー・レオンは知っているのでは?
香港映画のベテランですよね。代表作はアンディ・ラウとW主演した『インファナル・アフェア』他さまざまあります。『インファナル・アフェア』は観ていなくてもリメイク版でレオナルド・ディカプリオ&マット・デイモン主演の『ディパーテッド』や西島秀俊&香川照之主演の『ダブルフェイス』を観たことならあるという人も多いでしょう。
『シャン・チー』で話題のトニー・レオンと言えば、裏社会に潜入する孤独な刑事を演じた『インファナル・アフェア』。次第に追い詰められていく男たちに胸が締め付けられる傑作です。日本版『ダブルフェイス』では西島秀俊がトニーを彷彿とさせる演技を披露。ハリウッド版ではディカプリオでした。 pic.twitter.com/cpiANiQVW7
— じぇれ@映画アカ (@kasa919JI) September 4, 2021
身体能力もさることながらさすが実力派俳優です。悲しみを帯びた悪役のその表情。彼の演技がなければ『シャン・チー/テン・リングスの伝説』がこれだけ説得力のある作品にはならなかったでしょう。
トニー・レオンがオカマ役で登場するジャッキー・チェンの『ゴージャス』は後でも紹介しますが見どころ満載ですよ♪
『シャンチー』で注目度爆上がりのトニー・レオンですが、私のイチオシトニーはジャッキー・チェン主演の『ゴージャス』のアルバート。
何ともキュートで素敵なキャラなので、トニー沼に入った方は一度観て欲しい。 pic.twitter.com/djG4uK3BKG— QUJA クージャ(お面職人) (@Love_QUEEN_7836) September 4, 2021
ミシェル・ヨー
シャン・チーの母、イン・リーの故郷ター・ローという不思議な村を守る女性イン・ナンを演じたのがミシェル・ヨーです。イン・ナンはシャン・チーの伯母にあたる人。
ミシェル・ヨーは往年の香港映画ファンにはミシェール・キングとして親しまれた方もおおいベテランの香港の俳優です。
香港映画ファンなら真田広之さんとW主演した『皇家戦士』やジャッキー・チェンの『ポリス・ストーリー3』や『グリーン・ディスティニー』などで彼女の体当たりのアクションや美しい武術に度肝を抜かれた記憶があるはず。
ハリウッド映画ファンでも『007 トゥモロー・ネバー・ダイ』でのボンドガール役で彼女のアクションは観ているのでは?
ユン・ワー
さらに、香港映画ファンを喜ばせたのはター・ローを守る老戦士グアン・ボーとして登場したユン・ワーです。
この人も癖のある役をやることも多いベテラン俳優ですが身体能力凄い人ですよ。
『燃えよドラゴン』や『ドラゴン怒りの鉄拳』などでブルース・リーが見せるサマーソルトキックなどの回転技はユン・ワーが吹き替えています。
ジャッキー・チェン、サモ・ハン・キンポー、ユン・ピョウが所属していた身体能力がずば抜けた子役たちで結成された七小福のメンバーでもあります。七小福一の身体能力の持ち主だった人ですね。
日本でも大ヒットしたチャウ・シンチー監督主演の『カンフー・ハッスル』でも大家さんとして出てきましたね。
ミシェル・ヨーといえばポリス・ストーリー3のアクションがヤバかった。
主役のジャッキーを喰う勢いと大活躍だった。 pic.twitter.com/2Go87lPQkF— KaZmA(カズマ) (@1090dreams) May 30, 2021
↑チラッと映る黄色いつなぎ姿がジャッキー・チェン。アクロバティックに敵を倒すのがミシェル・ヨー、彼女に蹴られたのがユン・ワーです。
ドキドキする潜入捜査アクション『ポリス・ストーリー3』の1シーンですね。
映画『シャン・チー/テン・リングスの伝説』のアクション
映画『シャン・チー/テン・リングスの伝説』にジャッキー・チェンは直接は関わっていませんが、この作品のアクションはジャッキー・チェンの存在なしには語れないんです。
ジャッキー・チェンが切り開いたカンフー&アクションの組み合わせ
映画『シャン・チー/テン・リングスの伝説』のアクションシーンはまさに香港アクション映画のようなアクションシーンが多かったですね。
カンフーによる格闘シーンだけではなく、例えばマカオのビルの周りを囲んでいる竹の足場でのアクションシーンやバスの中でのアクションシーンもそうです。
バスの中でのアクションシーンなんかは今ではハリウッドアクション映画でもよく見るかもしれませんが、ああいうアクションスタイルはまさにジャッキー・チェンが生み出してハリウッドにまで影響を与えていったスタイルです。
中国や香港独特の竹の足場でのアクションは『ラッシュアワー2』でもジャッキー・チェンとクリス・タッカーのドタバタアクションで観れますね。
アクション監督 ブラッドリー・ジェームス・アラン
映画『シャン・チー/テン・リングスの伝説』の完成度を観たときに絶対に無視できない存在がアクション監督です。アクション・コーディネーターとかアクション・デザイナーとか武術指導とかいろいろな言われ方がありますが、映画の中でのアクションの振り付けを考えて指導する人ですね。
映画『シャン・チー/テン・リングスの伝説』でアクション監督を務めたのは故・ブラッドリー・ジェームス・アランという人です。
残念ながら8月に48歳の若さで亡くなりました。世界の映画界はまたひとり貴重な映画人を失ってしまいました。心からご冥福をお祈りいたします。
ブラッドリー・ジェームズ・アランは、近年では『キングスマン』のアクション監督もしていた人ですね。
じつはアラン、成家班出身のスタントマンです。成家班とはジャッキー・チェン・スタントマン・チームのことです。
ジャッキー・チェンの映画は信頼のおける家族同然のスタントマンチームで計算されたアクションが作られています。そのチームがジャッキー・チェン・スタントマン・チーム。
つまりジャッキー・チェン仕込みのアクション監督が『シャン・チー/テン・リングスの伝説』のアクションを作っているわけです。
ブラッドリー・ジェームズ・アランは彼自身もジャッキー・チェン主演の2000年代前後の作品にはよく出演していました。
中でも、『ゴージャス』(1999年)はジャッキー・チェンとの1対1の対決を中盤とラストのクライマックスで魅せてくれます。作品中メインでジャッキーと格闘するのがアランなんですね。
「ゴージャス」でのジャッキーの好敵手として、また「キングスマン」「シャン・チー/テン・リングスの伝説」のアクション監督として知られるブラッド・アラン(ブラッドリー・ジェームス・アラン)が48歳の若さで亡くなりました。あまりに早い死で受け入れ難いですが、いまはご冥福を祈るばかりです。 pic.twitter.com/Sn4rZy47vt
— 大成龍祭2011 (@daiseiryusai) August 7, 2021
そんなアランがデザインしたアクションシーンがまさに映画『シャン・チー/テン・リングスの伝説』の見どころをデザインしているといっても過言ではない、それくらいアクションいっぱいの目まぐるしい大冒険活劇映画になっていますね。
まとめ
映画『シャン・チー/テン・リングスの伝説』という映画はハリウッド映画です。
今ハリウッド映画ではもっとも熱いといってもいいMCUシリーズに新たに登場した新ヒーローがシャン・チーです。
戦いはカンフー。太極拳などさまざまなカンフーが観れる上に故ブラッドリー・ジェームズ・アランによるバリバリのジャッキーアクション。そして脇を固めるのが香港アクション映画界のベテランたち。
今まで香港映画に興味がなかった人が香港映画を観るようになったり、香港映画は好きだけどハリウッド映画はあんまり…という人がハリウッド映画も観るようになったり…。
あるいは映画は好きだけどMCUはシリーズが多すぎて何から手を出したらいいかわからないという人がMCUを見るようになったり…。
映画『シャン・チー/テン・リングスの伝説』から映画ファンが自分の好みの幅を広げるいい機会になるんじゃないでしょうかね?
かつてのような影響力がなくなったかのように見える香港映画界ですが、なんのなんの、こんな大舞台で大輪の花を咲かせていますよ!
全ての物語のために