映画 空母いぶき 評価とキャスト情報 ネタバレ考察 純粋な祈り

映画
©かわぐちかいじ・惠谷治・小学館/『空母いぶき』フィルムパートナーズ 引用元:https://kuboibuki.jp/

映画 空母いぶき 評価とキャスト情報 ネタバレ考察 純粋な祈り

 

映画 空母いぶき って評価エグイくらい別れるね

西島秀俊さんと佐々木蔵之介さん主演の空母いぶき 私は感動したな!

空母いぶき 賛否、どちらもわかるけどね

この記事は、評価がくっきり賛否両論別れることがとても興味深い映画「空母いぶき」について紹介しています。
評価についての考察を含め、注目のキャストやスタッフから見えてくる映画「空母いぶき」の楽しみかたのポイントを紹介していきます。

若干のネタバレはありますが、これから作品を見る人の楽しみを奪うようなネタバレにはならないように書いているつもりです。それでもネタバレが気になる場合は先に映画「空母いぶき」を楽しまれることをおススメします。

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映画 空母いぶき ネタバレあらすじ

 

映画「空母いぶき」
2019年 日本

©かわぐちかいじ・惠谷治・小学館/『空母いぶき』フィルムパートナーズ
引用元:https://kuboibuki.jp/

 

戦後、日本が経験したことのない24時間のクライシス!

20XX年、12月23日未明。沖ノ鳥島の西方450キロ、波留間群島初島に国籍不明の武装集団が上陸、日本の領土が占領されます。
海上自衛隊は直ちに小笠原諸島沖で訓練航海中の第5護衛隊群に出動を命じました。
その旗艦とは…自衛隊初の航空機搭載型護衛艦『いぶき』でした。
計画段階から「専守防衛」に必要か否かという論議の的となり国論を二分してきた『いぶき』。
艦長は、航空自衛隊出身の秋津竜太一佐。そしてそれを補佐するのは海上自衛隊生え抜きの副長・新波歳也二佐。
現場海域へと向かう彼らを待ち受けていたのは、敵潜水艦からの突然のミサイル攻撃でした…
クリスマスにわく日本と、その平和を守るために命を懸ける自衛官たち。
息もつかせぬ未曽有の自体にこの国はどう向き合うのか!?

映画 空母いぶき とは…スタッフキャスト

映画 空母いぶき のスタッフ

映画 空母いぶき のすごい原作

原作は小学館発刊の雑誌『ビッグコミック』で連載されていた漫画「空母いぶき」(かわぐちかいじ作/監修:恵谷修)です。
わたしは若いころに「沈黙の艦隊」という漫画を一生懸命、手に汗握って読んだ覚えがあります。

映画 空母いぶき のすごいスタッフ

映画 「空母いぶき」の主なスタッフ

・企画:福井晴敏
・脚本:長谷川康夫/伊藤和典
・監督:若松節朗

福井晴敏さんについて

福井晴敏さんは小説「Twelve Y.O.」で講談社の江戸川乱歩賞を受賞され作家デビューされました。その後、架空の自衛隊内の諜報組織DAISのかつやくを描いたシリーズ、「川の底から」「亡国のイージス」「Op.ローズダスト」や、第二次大戦中に3つ目の原爆投下を阻止する潜水艦ローレライの活躍を描いた「終戦のローレライ」などで数々の賞を受賞し一気にベストセラー作家になりました。2005年は「ローレライ」「亡国のイージス」「戦国自衛隊1549」と福井晴敏さんが携わった作品3本が映画化され『福井晴敏イヤー』とも呼ばれました。その後も「真夏のオリオン」「人類資金」などの映画にも積極的に携わっています。もっとも影響を受けた作家・監督の富野由悠季さんとも親交を深め「機動戦士ガンダムUC(ユニコーン)」を角川書店より出版。同作のアニメ化にも携わったことからアニメーションの世界でも積極的に活動され、大好きなガンダムにとどまらず、フルCG映画「キャプテンハーロック」の脚本や「宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち」のシリーズ構成兼脚本も担当。今(2020年6月現在)も「宇宙戦艦ヤマト2205 新たなる旅立ち」を準備中のようです。

わたしは『福井晴敏イヤー』に福井さんのことを知り、以降小説は全作読んでいます。実際に観てきたかのように描写する筆力は圧巻。特に「亡国のイージス」では主人公たちが水中で戦っているときに思わず主人公と一緒に息を止めて読んであっぷあっぷしちゃいました♪
映像よりも迫力のスペクタクルを文章で書いてしまえる人です。
わたしがもっとも好きな福井さんの小説は「機動戦士ガンダムUC」と「人類資金」のペアです。同じ時期に書いているのもあって共通したテーマが根底にあります。先人たちが残した遺産をわたしたちは次の世代にどう託せるのか?片方は思想的に、もう片方は世界経済的に、どちらもそうだいながら個人の問題としても考えさせられる傑作です。特に「機動戦士ガンダムUC」のクライマックスは何度読んでも涙が止まりません。

長谷川康夫さんについて

長谷川康夫さんは、舞台や映画の脚本を主に書かれる方ですね。わたしが観たことのある映画は織田裕二さん和久井映見さん主演の「エンジェル 僕の歌は君の歌」、木村拓哉さんが特攻隊員を演じた「君を忘れない」、真保裕一さん原作のベストセラー小説を織田裕二さん主演で映画化した「ホワイトアウト」、福井晴敏さん原作、真田広之さん主演の「亡国のイージス」、高嶋哲夫さんの小説を大沢たかおさん主演で映画化した「ミッドナイトイーグル」、池上司さんの『雷撃深度一九・五』という本を原作に福井晴敏さんが脚色し映画化された「真夏のオリオン」です。他にも邦画ファンには有名な作品が数多くあるようです。

「エンジェル 君の歌は僕の歌」以外はスペクタクル系の作品ばかりですね。信頼されているんだと思います…業界内で。実際「ホワイトアウト」はわたしは原作も読みましたけど(主人公の富樫が水に流されるところで、読みながら一緒に行き止めてあっぷあっぷしちゃいました♪)、よく2時間強にまとめたなと思いました。わたしは「ホワイトアウト」映画公開日の前日に原作を夜通し徹夜で読んで読破し、公開日初上映で観ました。そのときはその観方が失敗でした。原作のイメージがありありと残っていたので映画がエラくチープに感じちゃって…でも、改めてDVDを買って見返したら邦画としてはなかなか見応えのある作品でした。「亡国のイージス」も「ミッドナイトイーグル」もスペクタクル小説を2時間前後の映画によくまとめた脚本となっていますよ。

伊藤和典さんについて

伊藤和典さん。わたしたちの世代(昭和50年生まれです)で、アニメや漫画を観ていた人は知っているかもですね。ヘッドギアのメンバーです。
ヘッドギアとは「機動警察パトレイバー」の原作チームですね(ゆうきまさみ:原案および漫画、出渕裕:メカニックデザイン、高田明美:キャラクターデザイン、伊藤和典:脚本、押井守:監督)。圧倒的にアニメ系への参加が多い方。実写は押井守監督作品か「ガメラ」など特撮系があるくらいかな?

若松節朗さんについて

監督の若松節朗さんは一番最近では映画「Fukushima50-フクシマフィフティ」が記憶に新しいですね。その他、代表作は映画「沈まぬ太陽」があるようですがまだ観れていません。わたしは織田裕二さん関連作品で若松節朗さんの作品にはよく触れていました。ほぼドラマですね。「振り返れば奴がいる」「お金がない!」「正義は勝つ」「恋はあせらず」「真夜中の雨」…ビデオを録画して何度も観た作品です。骨太なんですよね。なかでも「真夜中の雨」は一番好きです。
映画「ホワイトアウト」も若松節朗さんの監督作品です。

映画 空母いぶき のキャスト

多すぎるので、主なキャストのみ紹介させていただきます。

映画「空母いぶき」の主なキャスト

■自衛隊
秋津竜太(航空機搭載型護衛艦「いぶき」艦長):西島秀俊
新波歳也(航空機搭載型護衛艦「いぶき」副長):佐々木蔵之介
湧井継治(第5護衛隊群群司令):藤竜也
迫水洋平(アルバトロス隊隊長):市原隼人
井上明信(海幕広報室員):金井勇太
浦田鉄人(護衛艦「あしたか」艦長):工藤俊作
浮船武彦(護衛艦「いそかぜ」艦長):山内圭哉
瀬戸斉明(護衛艦「はつゆき」艦長):玉木宏
清家博史(護衛艦「しらゆき」艦長):横田栄司
滝隆信(潜水艦「はやしお」艦長):高嶋政宏
大村正則(RF-4EJ偵察機ナビゲーター) :袴田吉彦

■政府
垂水慶一郎(内閣総理大臣):佐藤浩市
石渡俊通(内閣官房長官):益岡徹
沢崎勇作(外務省アジア大洋州局局長) – 吉田栄作

■一般人
本多裕子(ネットニュース P-Panel記者):本田翼
晒谷桂子(本多裕子の上司):斉藤由貴
藤堂一馬(本多裕子の先輩ディレクター):片桐仁
中野啓一(コンビニエンスストア店長):中井貴一
森山しおり(コンビニエンスストアのアルバイト店員):深川麻衣
田中俊一(東邦新聞のベテラン記者):小倉久寛

皆さん絶妙な配置なんですよ。原作漫画に登場していない映画オリジナルの登場人物を演じている中井貴一さん、本田翼さん、小倉久寛さん、斉藤由貴さん、片桐仁さんたちも本当にちょうどいいところに配置されています。佐藤浩市さんの総理役もそうだし、玉木宏さんや高嶋政宏さん吉田栄作さんといった実力派の人たち、主役級の人たちの脇の固め方もスゴイです。

映画 空母いぶき 賛否両論くっきり評価がわかれている映画

レビューサイトでの映画「空母いぶき」評価を読み漁って

賛否両論が極端な映画「空母いぶき」

否(マイナス)の評価をしているひとの評価点がエグくて、5点満点中1というのが多いです。そういう人に言わせれば1ですらボーナス点とか、0点がつけられないから…とか書かれています。
エグいでしょ?

マイナス評価になっている理由としては、もっとも多いのが原作漫画のファンで原作と違うことへのがっかり感が伝わってきます。それから、2019年春~初夏の公開当時のマスコミの意図的な“編集報道”による湾曲された佐藤浩市さんのインタビューの発言(とされる文言の抜粋)に過剰反応していた人たち。特に公開当時のレビューを観ていると作品を見もせずにただブーイング的に誹謗中傷している人がいます。原作ファンのがっかり感はそれぞれの原作への思い入れによるものですから正当なものだと思います。でも、佐藤浩市さんの発言を正確に読み解こうとせず反射的にブーイングし始めた人たちには当時辟易しました。「おいおい日本って大丈夫?せめて原文を検索して冷静に読み直すくらいはしないと、情報リテラシー以前の問題じゃないの?」って。わたしも情報リテラシーはかなり低いほうですけどね。この件は正当な批評に入れたらダメだと思います。
そのほかはそれぞれ正当な批評が多いと思います。軍事ものへのこだわりやアクション映画、ポリティカルアクション、特撮や演出、ストーリー。みなさんそれぞれの思い入れによって評価されているのでこれは正当な評価だとわたしは思いながら読みました。

で、賛否両論の賛(プラス)の評価はどうか?
これまた極端でほとんどが5点満点の5点。4点もまあまあいるかな。たまに2点や3点のの人もいるといった感じ。(※特にYahoo映画を参照)

政治的なことや国防に関することを専門的に書かれて絶賛している人もいますが、わたしの印象としては、あまり難しいことはわからないけれど日本が他国から攻められた時に軍隊ではない自衛隊という組織はどういう考え方での戦闘を強いられるのか?というギリギリの葛藤であったり、その自衛官たちの命がけの防衛戦によって自分たちの平和ボケが守られるんだなという自覚だったり、純粋な平和への感謝や祈りだったり。そういう本質的な部分にとても感じ入られているフツーの人たちが多いことが特徴的だったなと感じています。
軍事ものや男くさいアクション映画、戦争映画が好きな人ではなく一般的な人たちなんじゃないかな…という、まあこれはレビューを読んでいてわたしが勝手に抱いた印象ですから実際のところはわかりません。でも冷静に読むと決して的外れではないと思います。

賛否の両方に共通して多い意見

賛否の両方に共通している意見で多かったのが中井貴一さんが店長を演じるコンビニエンスストアのシーンです。
残念なことに作品自体を絶賛している人たちの多くもコンビニエンスストアや原作にはない記者たちの存在やネットニュース編集部での描写は要らなかったのでは?という評価が多いんですね。プラス評価をしている人でもですよ。興味深いですよね。

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映画 空母いぶき の魅力

映画 空母いぶき 筆者の評価

個人的な切り口から入らせていただきますが、「映画『空母いぶき』をイマイチ楽しめなかったけどまあ悪くはなかった」という人から、「気にはなっていたけどまだ観ていない」という人には、あらたな視点の参考にはなるかもしれません。前はいまいちだったけど、そういう目で見ると確かに面白いかも…と思ってもらえたら嬉しいです。

また、コレを機に、ここで一緒に挙げている作品を見返すきっかけになればもっと邦画の進歩を楽しめるかもしれません。それぞれ見どころのある作品ですから。

映画 空母いぶき わたしの評価

ここ最近の邦画の中で一番好きな映画です。間違いなく。観た回数だけで比べるともっとヘビーなファンもいるようですがわたしはこの1年間で3回観ています。観たい気持ちを抑えて3回です。とても面白いしテンポもよくエモーショナル、そして緊迫感のある演出と迫力のスペクタクルシーンが小気味良く構成されています。

…ここからすこしネタバレが多くなっていきます…

映画 空母いぶき を作った人たち…失敗を糧に!

福井晴敏さん、長谷川康夫、若松節朗さん…「亡国のイージス」「ホワイトアウト」「真夏のオリオン」「ミッドナイトイーグル」…
日本のスペクタクル映画を発表してきた人たち。
どの作品も、『ある意味』『日本映画としては』そこそこ評価できる点はあります。
でも、高めに(甘めに)評価しているわたしから観ても、正直に言って大成功作品とは言い難いというのが正直な評価です。わたしはもともと映画好きですし、それぞれこのお三方が参加されるならと期待を持って応援した映画です。それでも残念ながらどの作品も『わたし個人の中』ではいま一歩なんですね。期待したからこその残念感がどうしてもぬぐえない作品だったんです。「やっぱり日本じゃこんなもんか…」…って。

それらスペクタクル作品全てを手掛けたのは長谷川康夫さんだけですね。
「亡国のイージス」「真夏のオリオン」は福井晴敏×長谷川康夫。
「ホワイトアウト」は若松節朗×長谷川康夫。

この映画「空母いぶき」の存在を知ったのはイオンシネマに何かの映画を見に行ってチラシを手にしたときでした。
今までそれぞれ2人ずつの組み合わせは観てきました。それが今度は福井晴敏×長谷川康夫×若松節朗…
これは今までの失敗へのリベンジを感じる!(ご本人は失敗と思っていなかったら失礼!)、しかもスクリーン上では西島秀俊×佐々木蔵之介×佐藤浩市×中井貴一×……って!

まず目に飛び込んできたこの人材の集め方。これだけでもわたしは観ることを確実に決めていました。でもさらに目に飛び込んできたのが…

…×かわぐちかいじ×伊藤和典!

過去作品のリベンジ×ダブルの新パワーの導入。

かわぐちかいじさんは言わずと知れた原作「空母いぶき」の作者。彼が監修していますからね映画「空母いぶき」は。
かわぐちかいじさんが描きたかったことの本質が背骨としてしっかりと貫かれているはずです。
そして、マイナス評価にもプラス評価にも共通して出てきた『原作にないキャラクター』不要説。あれも実は無効なんです。
かわぐちかいじさん自ら書かれている「エピソード0」の漫画で全員ちゃんと出てきます。ですから「原作に登場しない」という言い方がもう無効。

そして伊藤和典さんですよ。

押井守監督作品やアニメが好きな人でないとたぶん観たことがない映画、「機動警察パトレイバーTHE MOVIE」「機動警察パトレイバーthe movie2」の脚本を手掛けた人です。この2作品は、好きな人はもう何度も見返していると思います。そういう人は十分ご存じでしょうが2作品とも日本の国防の在り方がテーマになっています。主役は警察組織の面々ですが彼らが追う犯人は自衛隊の兵器にウィルスを仕掛けたプログラマーだったり元自衛官だったり…彼らが国防の在り方に疑問を呈するんですね。

伊藤和典さんはハリウッドでもスカーレット・ヨハンソン主演で実写化された「甲殻機動隊 GOHST IN THE SHELL」の脚本も手掛けています。重厚で深いテーマを扱いつつテンポのいいエンターテインメント作品として物語を構築できる人。邦画はハリウッド映画に比べてテンポの緩いものが多いですが、日本のアニメはそうではありませんよね。そのアニメ界からこの人が参戦するということは、上手く作用すれば邦画独特の緩慢なテンポがブラッシュアップされてギュギュっと見どころが詰まったハイテンポで見応えのあるスペクタクル作品になるはず!

この2人が福井晴敏さんの「ガンダム」&ハリウッドアクション映画で育った感性、長谷川康夫さんの膨大なスペクタクル原作を2時間前後の脚本にまとめる手腕、若松節朗監督の圧のこもった骨太演出と見事に融合したとき、それぞれの良さを活かし合えたら絶対にいい作品なる!

そう期待したんです。チラシを手にしたあの時。その読みは大正解でした。

誰も殺し合っていない。絶妙にそれぞれの良いところのアンサンブルが一本のスペクタクル作品をガチっと完成させてくれました。

そして、自衛隊の撮影協力を申請しなかったのに!日本特撮界のレジェンドである樋口真嗣さんも山崎貴さんも参加していないのに!艦隊戦も空中戦も何度観ても楽しめるスリルと迫力があります。

こういう点と点のつなげ方はわたしの好み、独特の視点かもしれませんが、こんなスタッフとキャストがそろっているのが現実なわけです。特にメインスタッフこの5人の競作として素晴らしい完成度の作品ですよ。大成功です。

普通の人にもわかりやすい評価

今までの評価はちょっと、わたしの好みの視点が強いかもしれません。マニアックですよね。
なので、もう少し一般的な視点での評価や感想も書いておきます。何せこの映画はそういう人向けに作られているのであって映画オタクや戦記映画マニア向けのものではありませんからね。

映画 空母いぶきのキャスト陣には文句の付け所がない!

キャスト陣を観たらわかると思います。あれでもすべてではありませんからね。主演の西島秀俊さん佐々木蔵之介さんはもちろんのことその他の人たちも、紹介しなかった人たちもみんな絶妙ですよ。

個人的に何回観ても畏怖の念を抱くのは井上明信(海幕広報室員)を演じた金井勇太さんです。胸の内には様々な思いを持ちながらも民間人である記者2人には常に穏やかな姿勢を崩さない。本物の強さをセリフがないシーンでもそのたたずまいで醸し出されています。

佐藤浩市さんも素晴らしいしです。1人の人間が日本という一つの国の運命を左右する決断を任されているわけです。その葛藤がとてもよく出ていました。
中井貴一さん演じるコンビニエンスストアの店長が一生懸命クリスマスの長靴を準備するシーンのひとつひとつの描写。例えば集中するために耳栓をしていてスタッフに声をかけるとビックリしたり、耳栓をしているせいで自分の声が大きくなってしまったり…
見返すたびにその一つ一つがこの映画にどれだけ深みを与えているかが感じられるようになってきます。

映画 空母いぶき は老若男女問わず勧められる映画~コンビニのシーンは必須です!~

身近な家族親戚…とくに妻、妹、母、思春期の姪たち…といった女性たち。フツーのテレビドラマが好きで「ランボー」や「ダイ・ハード」は男子がはしゃぐ映画だと思っているようなフツーの女性たち。それから男女関係なく小学生にも勧められるような映画。映画「空母いぶき」そんな作品だと思っています。

そんな映画にしているのは作品全体のバランス感覚です。

中井貴一さんのコンビニのシーンや斉藤由貴さんたちネットニュース編集部のシーン。あれはわたしたち一般人が生きている今この現実の象徴ですよね。平和な日々の象徴。平和ボケできるほどの愛すべき平和。その象徴です。

この映画は終始、戦争を起こさないためのにギリギリの葛藤の中で戦っている防衛ライン現場と、ボケることができるほどの平和、その対比を描いていました。そこは一貫してします。

例えば、空母いぶきの中には一般人にもっとも近い記者が2人います。そしてコンビニでもクリスマスの準備を裏の事務所でニコニコしながら一生懸命やっている人の良い店長がいて、その店舗内では戦争になるかもしれないと買占め客が押し寄せる“戦場”が繰り広げられています。ニュースサイト編集部では本多記者(本田翼)から送られてきたリアルな映像を見ながらパソコンに食いつきつつもおにぎりの取り合いをしています。また、彼らがこの事件で戦々恐々としている部屋とドア一枚隔てた別部署ではクリスマスの飾りつけをしながら盛り上がっています。このような対比もそうですよね。

決して男たちの血沸き肉躍る興奮のアクションものを見せたかったわけじゃないハズなんですよ。

外国から武力攻撃を受けたとき、この国はどうなるのか?
それを2時間ちょっとの映画でわかりやすく見せている。しかもエンターテインメント作品として。とてもリアルな問題、身近な問題でありながら、物語作品としては象徴的…つまり寓話(おとぎ話)的な立ち位置でもある。このバランス感覚。

そういう意味で言えば、佐藤浩市さんたちが見せる総理を中心とした政治家たちのシーンもそうですね。
あのシーンをグダグダだったという意見もありましたが、日本の平和を守る決断を迫られた時のひとりのリアルな人間としての葛藤が見事に伝わってくる演出と演技でしたよ。トイレを流した直後の総理のため息と表情、胸が痛くなりますよ。

エンディングははっきり言ってご都合主義なんて通り越してファンタジーも通り越してメルヘンです。少年漫画でも恥ずかしくて描けないような決着がつけられます。

ビックリしました。でもそれはけなしているのではありません。
いっそ「よくやってくれた!」と拍手喝采です。
あの決着こそ、この作品が寓話であることの証だと思います。
「ロード・オブ・ザ・リング」とかね、そういうたぐいのお話と同じような立ち位置。

平和ボケできるほど平和な社会を愛する日本人として…
国際社会の基準で言えば恥ずかしいくらいウブな日本人として…
甘いこと、甘ったれたことを言わせてもらえば、あの決着こそ争いを好まないわたしの祈りを象徴してくれました。

でもそれって、日本人の『平和への祈り』そのものだと思うんですよ。

あの決着だけを見たら幼稚だとか非現実だとか言う人の意見もわかりますが、物語の中での政治家さんたちのやり取りや戦闘の現場での葛藤を観ていたら、あの決着がメルヘンであることをわからない人たちが作っているとは思えません。それでも、あの決着を描いたということは、一本のエンターテインメント作品としてひとつの祈りの象徴としてのエンディングをわかりやすく表現してみせた…ということなのではないでしょうか?

どこか遠い世界ことだと思ってしまっているけど実はとても身近で現実的な問題。
それを寓話として緊迫感も迫力もしっかりと描いて、エンターテインメント作品として映画オタクやアクション映画ファンのためではなく、右や左の思想をお持ちの方のためでもなく、フツーにこの国で平和に暮らすみ~んなをひっくるめた『フツーの日本人』のための映画…として傑作だと思います。

こういう言い方をするとマイナス評価をしていた人たちに「正当な評価」だと言いつつもケンカを売っていると思われるかもしれません。そこをあえて言いますと…

この映画「空母いぶき」はちょっとした想像力を試される作品だと言ってもいいでしょう。

1か所だけ、映画の途中でハッキリと想像力をチェックできるわかりやすいシーンを挙げておきます。

あることが起きて、みんなが「…」となります。シ~ンと緊張感が漂うんですね。
その空気を受け止めた西島秀俊さん演じる秋津艦長が言います。

「忘れるな…。この実感は忘れずに覚えておけ」

このときにあなたの胸にも劇中の人たちと同じ実感や空気が流れるか?

もちろんわたしが感じたものも本物の実感には程遠いでしょうが、わたしは何度見ても涙が出ます。
別に涙は出なくてもいいけど、ここで感じるものがあるかどうか?
この作品を体験するうえで、想像力という意味でとても鍵になるシーンだと思います。

特に冒頭は自ら前のめりで作品の本質に飛び込むくらいの気持ちが必要かもしれません。
「ながら」で観ていたらすぐに振り落とされます。
真剣に観ていても、原作への思い入れや自分の政治的な考えや、映画的なコアなこだわりにしがみつきすぎているとそれでも振り落とされます。

逆に先入観を捨てて素直に観ると、とてもドキドキしてエンターテインメントを楽しみながらも、心から平和に感謝できるステキな映画だと思います。

もちろん、それだけが正解ではなくて一つの視点というだけです。
あなたが観た感想はあなたの大切な感じ方ですからそれは大切にしてください。

作っている人たちの熱量はスゴイのは間違いないですよ。

スタッフの熱量も、キャストの熱量も、しっかりと圧力として作品に詰め込まれています。

 

全ての物語のために

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