映画『真夏の方程式』はひどい・つまらない?面白く観るには?評価・感想
映画『真夏の方程式』は本当にひどいの?つまらないの?
確かにつまらないという人多いみたい
賛否の数がちょうど同じくらいなのが興味深いよね
この記事では、2013年の映画『真夏の方程式』の評価や感想を分析しています。
初めて観る人、もう一度観てみようかなと思う人が、より楽しめるヒントにもなると思います♪
映画ガリレオ2作目『真夏の方程式』レビューサイトでの評価 ひどい・つまらない派が多い
レビューサイトでは「ひどい」「つまらない」という低評価が多い映画『真夏の方程式』。
はたして本当につまらない作品のでしょうか?
まずはレビューサイトでの評価を観ていきましょう。
レビューサイト | 評価得点 |
Yahoo!映画 | 3.5 |
映画.com | 3.5 |
Filmarks | 3.5 |
※2022年8月9日時点 全て5点満点評価中の平均点数です
この3つのレビューサイトでの平均評価がここまでぴたりと一致するのも珍しいですね。
3.5というのは、高評価とっていいと思います。
3.0~3.4は普通に面白い。
3.5~3.9は高評価。
4.0以上はかなりの高評価。
これはわたしがレビューサイトを参考にするときの個人的な指標です。
レビューサイトはあくまで参考程度で自分の評価は自分で観て決めますけどね。
レビューサイトの平均が2.5とかでも、わたしにとっては4.5だった…
何て作品もたくさんあります、当然その逆もしかり。
とは言え、多くの場合、参考にできる評価平均でもあります。
映画ガリレオ2作目『真夏の方程式』の低評価 ひどい・つまらない という人たちの感想・分析
映画『真夏の方程式』を「ひどい」「つまらない」という人たち、低評価の人たちの感想をザックリ分類すると…
- 「前作に比べてつまらない」
- 「モヤモヤする」「後味が悪い」「謎が解けてもスッキリしない」「犯行動機が許せない」
- 「暗い」「重すぎる」
- 「トリックが薄い」「(テレビ)ドラマのほうが良い」
ほぼ、上記のような感想に別けられるようです。
低評価分析1「前作に比べてつまらない」
どのような視点で観たのか?言葉にハッキリ表れていますね。
前作『容疑者Xの献身』と比べたということです。
つまり、同じような系統、方向性で「もっと感動させてくれるか」を期待したということでしょうかね。
なるほど、それだと確かにつまらないと思います。
低評価分析2「モヤモヤする」「後味が悪い」「謎が解けてもスッキリしない」「犯行動機が許せない」
後味が良くない=つまらない
という評価をしちゃうんですね。
面白いですね。
こういう人たちは前作を低評価している人たちの中にも目立ちました。
「モヤモヤする」「後味が悪い」「謎が解けてもスッキリしない」という気分の理由が「犯行動機が許せない」からでしょう。
ちょっと乱暴にまとめすぎですか?
厳密に言うと例えば「その犯行動機なのにその結末でいいのか?」とか、それぞれに言いたい事があるとは思います。
特に物語中での少年の立ち位置や彼への扱いなどがスッキリしない人も多いようでした。
ということは、前作『容疑者Xの献身』のときと全く同じですが、めちゃくちゃ感情移入しちゃったからこそ出てくる気持ち悪さだと思います。
まあ、ただこの少年の問題がなかったとしても、殺人事件で許せる犯行動機なんてあり得るのかな…?
正当防衛をした時の事故…だったとしても法的にどこまで許されるんでしょうかね?
犯行動機が許せないのは当たり前だと思います。
低評価分析3「暗い」「重すぎる」
これは好みだと思います。
確かに『容疑者Xの献身』以上に背筋がゾワッとくる重みがありました。
でもこの作品の重みを感じられる人も、ちゃんと作品のテーマやメッセージを受け取っている人ですよね。
素晴らしい。
低評価分析4 「トリックが薄い」「(テレビ)ドラマのほうが良い」
これも分かりやすいですね。
とにかくミステリーものが好き、謎解きが好き、そのトリックが面白いかどうか?
そこにしか興味がないという人が「トリックが薄い」と評価するのでしょう。
わたしはミステリーマニアではないのでその辺はわかりません。
「(テレビ)ドラマのほうが良い」という人もハッキリしています。
『ガリレオ』シリーズはドラマと映画ではテイストが全く違いますからね。
映画ガリレオ2作目『真夏の方程式』の高評価 は「ひどい」「つまらない」の意見と同じ比率
レビューサイトの感想を読んでいると、つまらないと感じた人と同じくらいの数の人が素晴らしかったと高い評価をつけている印象です。
高評価の感想を大まかに分類すると…
- 「前作よりこちらが好き」
- 「少年役、山﨑光くんの演技」
- 「邦画はほとんど見ないけど5点」
- 「モヤモヤ、後味が悪い」
- 「暫くストーリーから抜け出せない感じ」
以上のように別けられるようです。
高評価分析1「前作よりこちらが好き」
これも好みの問題ですね。
前作『容疑者Xの献身』も静かに淡々と進む作品で、ヒューマンドラマに重点を置いている作品でした。
しかし、物語の進め方から秘密の明かされ方が『真夏の方程式』よりもショッキングでした。
そういう意味で前作のほうが派手ではあったと思います。
だから前作のほうが評価が高い。
とは言え、『真夏の方程式』は前作とはまた少しテイストを変えてきています。
確かに派手さはありません。
前作と比べるとだいぶ「地味」な印象なのかもしれません。
淡々としていて起伏が激しくはないんですね。
逆にこちらの方が好みという人も一定数いるということでしょう。
高評価分析2「少年役、山﨑光くんの演技」
『真夏の方程式』のゲスト出演キャストと言えば杏さんや風吹ジュンさんら大人たちをイメージする人が多いと思います。
しかし、低評価にあった「重い」「モヤモヤ」などもそうですが少年と湯川の関係が大きく響くんですね。
その鍵となる少年を演じているのが山﨑光さんです。
前作では感情的な部分でクライマックスとなるシーンを印象付けたのは堤真一さんの演技が中心でした。
『真夏の方程式』でも観客の感情をかき乱すシーンがいくつか出てくるのですが、
その一つで少年が走り回るシーンがあります。
そのときの彼の心情を想像するだけで、今でも涙が出そうになりますが、山﨑光さんの演技がそうさせます。
彼と湯川のラストを観て「この映画観てよかったな」と思った人が多いのは頷けます。
高評価分析3「邦画はほとんど見ないけど5点」
好みが合う人にとって最高得点をつけたくなるのは非常によくわかります。
とても丁寧に作られていますから。
スカッとわかりやすい決着をつけられない問題に対してエンディングまでとてもデリケートに物語を紡いでいると思います。
そこが、わたしも非常に好感をもっているポイントです。
高評価分析4「モヤモヤ、後味が悪い」
面白いですね。
つまらないと低評価だった人たちから「モヤモヤする」「後味が悪い」という言葉が出たのは理解しやすいです。
でも高評価の人の感想にも「モヤモヤして後味が悪い」という言葉が見受けられました。
…だから良い…ということなんでしょうね。
高評価分析3とも繋がりますが…
- とりあえず気持ちよくさせるために安易な答えを出してしまわない。
- スカッとさせるためだけにトリックや謎解きの爽快感だけで終わらせない。
などでしょう。
つまり、見終えた後に観客の心に「考えること」が残っちゃう。
それも人としての在り方だったり人生だったりと、結構重要なことを自分自身に問いかけてしまうようなものが。
だから、「モヤモヤ」しちゃう。
とくに、『真夏の方程式』は殺人事件に関わる物語です。
後味が良いほうがおかしいわけですよね。
複数の登場人物の問題で、その後や「あれでよかったのか?」と考えちゃうような作りになっているからでしょう。
高評価分析5「暫くストーリーから抜け出せない感じ」
「暫くストーリーから抜け出せない感じ」という感想も、高評価分析4と繋がっていますよね。
つまり、余韻が残る。
「考えること」が自分の中に残るわけですから当然です。
あの人はあの後どうなるんだろう…?
自分だったらどうするだろう…?
なんてね。
もう1点、そういった余韻に浸ることを不快ではなく心地よく感じさせる効果がこの作品にはあります。
それが前作にもあった作品の雰囲気です。
具体的に言うと前作『容疑者Xの献身』ではしんしんと寒い冬の雰囲気が作品全体を覆っていました。
この『真夏の方程式』でも同じように季節感で雰囲気を包みます。
こちらは夏。
子ども嫌いの物理学者、湯川が電車の中で少年と出会うところから、理科嫌いの少年に物理の実験を体験させるところからラストまでの2人の関係性。
この流れは「夏の終わり」「少年期の終わり」という象徴的な余韻を見事に醸し出しています。
そういうところは「もう少し余韻に浸っていたい」と思わせるのかもしれませんね。
映画ガリレオ2作目『真夏の方程式』の生の感想・評価
では、『真夏の方程式』への生の感想・評価をいくつかTwitterからピックアップしてみましょう♪
#容疑者Xの献身 と #真夏の方程式 を観ました
福山雅治のキャラがかっこよくてクセになる
容疑者のエピソードに思わず泣かされてしまいます
誰も救われない愛が観てて少しきついけど東野圭吾作品はモヤモヤより満足感が勝ってくれるから良いですね
#沈黙のパレード も楽しみ
#映画好きと繋がりたい pic.twitter.com/jOXCgg617n— けい (@xjRL7O1DIQZKlAU) August 4, 2022
今、真夏の方程式をスマホでだけど観たよ。
胸が苦しくなる話だったよー😭
— ポン (@ponnb2) August 13, 2022
真夏の方程式
海がとっても綺麗
なんともいえない気持ちになるけど
夏に是非見ていただきたいエンドロールが完璧すぎる
⭐️5億
ゔぁあああああああ😭😭ってなるので
1人で見るのをおすすめします🙌 pic.twitter.com/9YcSlwj8J5— くろきち (@jakushakun) August 10, 2022
映画「真夏の方程式」なんとなく、見た。どのパーツが抜けても成り立たない作品が好きなんだけど、まさにこれがそうだった。子供にも、大人にも残酷なお話だけどすごいいい映画だった。 pic.twitter.com/lPTn622K1D
— 槐 奏子 (@saikatikanako) August 12, 2022
ガリレオ映画は容疑者Xよりも真夏の方程式のほうが好きです(原作は容疑者Xのほうが面白いんだけど映画としての格は真夏〜のほうが数段上)
— NORA@9/10a! (@nora912) August 13, 2022
『真夏の方程式』最高に面白いな。子供と先生のやり取りが最高。
少年の一夏の思い出にしては重すぎるが、その重さこそ良い‼️‼️
夏休みに見るべき映画。 pic.twitter.com/jjWkcSk6fJ— TOM@ディズニー好き? (@TOMOTAK11791694) August 9, 2022
ぬおぉぉぉぉ!「真夏の方程式」観たど!メチャ面白かった!途中まで推測合ってたんだけどな〜俺の脳みそじゃ、まだ完璧に見抜くことは不可能
だから面白い— フェリル@癒しが欲しい (@Re_Feriru_same) August 12, 2022
ガリレオシリーズ『真夏の方程式』を何度も見返している。今日も久しぶりに観た。最後に湯川先生が、駅で少年に語りかけるシーンは、個人的に邦画史に残る名シーンだと思う👏🏻👏🏻👏🏻https://t.co/FCBZLYJ0Lp #真夏の方程式 pic.twitter.com/vqYpDvB7kM
— てっちゃん@ENGINE (@tetsurokubota65) August 10, 2022
映画ガリレオ2作目『真夏の方程式』のとは?
一旦ここで、映画『真夏の方程式』というのがどういう作品なのか?
簡単に説明しておきます。
映画『真夏の方程式』あらすじ
玻璃ヶ浦では海底鉱物資源開発をめぐって地元の海の自然を守りたい反対派と地元の発展を目指したい賛成派とが対立していました。
そこで開かれた説明会にアドバイザーとして呼ばれていたのが東京の帝都大学の物理学准教授、湯川学(福山雅治)です。
湯川が宿泊した宿にはもう1人、説明会にも顔を出していた男性客が泊まっていました。
しかし、翌朝その客の死体が発見されます。
その被害者が元警視庁の刑事だとわかり警視庁が動くことになります。
宿泊者の中に湯川がいたことを知った刑事、草薙(北村一輝)と岸谷(吉高由里子)は湯川に協力を要請することになるのですが…
映画『真夏の方程式』の成り立ち
2007年にフジテレビの月9ドラマとして大人気となった『ガリレオ』第1シーズンは翌年2008年にスペシャルドラマと映画1作目『容疑者Xの献身』で人気のピークを迎えたかに見えました。
ところが、2013年に『ガリレオ』復活のニュースが流れたのでした。
6月の本作『真夏の方程式』の公開に先駆けてドラマ第2シーズンが4月から放送。
湯川の相棒役は柴咲コウさん演じる内海刑事から吉高由里子さん演じる岸谷刑事へバトンタッチ。
『真夏の方程式』の公開はドラマ第2シーズンが終わるころ、初夏でしたが、実は撮影はドラマよりも『真夏の方程式』のほうが先に終えていたそうです。
映画ガリレオ2作目『真夏の方程式』わたしの評価・感想 ひどくもつまらなくもない むしろ大好き
ここから映画『真夏の方程式』へのわたし自身の評価・感想を紹介します。
湯川の相棒は子ども?子ども嫌いなのになのに!?
捜査の相棒は湯川に協力を要請する警察側、シリーズのヒロインでもある岸谷です。
しかし、作品上は少年が相棒に見えてしまいます。
それほど、少年の存在が大きい作品です。
子ども嫌いな湯川がこの作品では「理科は嫌い」という少年に「聞き捨てならない」といって理科の実験をさせます。
少年にとっての夏休みの大きな価値観の大転換。
この実験シーンがこの作品の中でもっとも美しいシーンじゃないでしょうかね。
湯川は子供が苦手ではあるけど本当は嫌いじゃないのがわかります。
ポイントは湯川がパソコンにコピーするデジカメの写真データ。
一瞬ですが湯川の優しいまなざしがわかる写真が映ります。
抗えなかった理不尽な運命
この作品が「重い」といわれる一番の原因もその少年ですね。
彼にとっては抗いようがないこと。
それがとんでもなく彼の人生に重くのしかかります。
背筋が凍るほどゾッとしますよ彼の気持ちを考えると。
静かで地味なのに、なんてひどい状況に追い込むんだ!?
って思いました。
ハッピーエンドではないのに心地よい
映画1作目『容疑者Xの献身』もそうでしたがハッピーエンドではない、ひどいくらいに悲劇なんですね。
それでも、やはりわたしは前作同様に心地よい没入感を味わいました。
この情緒を貫いているのが、わたしを劇場に運ばせる理由です。
湯川のように在りたい
問題の少年はこのあとどうなるのだろう…
と心配せずにはいられません。
ただ、彼にどう接すればいいのか?
多くの大人が戸惑うであろうその問いに湯川は最高の対応をしたと思います。
大人として湯川のように在りたいと心から感じました。
演出、物語への誘いと終わり
映画『真夏の方程式』については物語へのいざないと幕の降ろし方も秀逸でした。
電車のパンタグラフというんですか?
電車の屋根の上にあるひし形のアレですね。
電線にくっつくようにバネのようになっていて、あそこから電力を取り入れる。
プロローグもエピローグも走る電線のパンタグラフが映し出されます。
時より火花を散らせながら。
そして列車はトンネルに入っていく。
観客を映画という異世界へいざない、またトンネルを抜けることでその現実逃避の時間の終わりを告げる。
そんな趣のあるプロローグ&エピローグ
わたしコレ、大好きなんですよね。
映画『真夏の方程式』はつまらない?面白く観るには?評価・感想まとめ
いろいろな人の思惑が絡み合った殺人事件。
この作品を「つまらない」と評価した人の中には「いい話にしようとしている」と思っちゃう人もいるようでした。
そういう人はある程度歳を重ねていろんな「愛する」を経験してからもう一度観直してみるときっと見え方が変わるんじゃないかな…と思います。
実際、「動機が許せない」という人がいるように本当につまらない思い込みが原因の殺人だったりします。
しかも殺人は冒頭の回想シーンで出てくる殺人と、湯川が宿に泊まっているときに起きた殺人と2件登場しますからね。
殺人の動機としてはどちらもつまらない。
だから悲しいんですよね。
見せかたは前作よりも地味に見えたかもしれませんが、この作品の登場人物たちに起きている出来事は前作よりも恐ろしくて悲しくて残酷だという見方もできるかもしれません。
じっくりと観る時間が取れるならぜひ、静かな環境で集中して観てみてください。
全ての物語のために