使えない奴 言われた時
こんにちは、ストーリーセラピスト喜村多門です。
前回、ドラマ『ラジエーションハウス 特別編~旅立ち~』を紹介しました。
→前回記事:ドラマ ラジエーションハウス 特別編 旅立ち ネタバレ【最終回の後彼らは?】

今回のストーリーセラピーは…
このエピソードから、人の向き不向きについて考えたいと思います。
向き不向きは絶対にある!
「あ、今『こいつ、使えねぇな~』って思われちゃったな…」
なんて視線で気付くコトありますね。
仕事の世界じゃもっとハッキリと「使えない奴」のレッテルを貼られことも少なくありません。
頑張っているのに頑張りが足りないとか…
怠けているだけだ…、甘えているだけだ…、
なんて言われて苦しんでいる人は、頑張る場所を変えて良いと思います。
ぶっちゃけ言うとそんなところからさっさと逃げ出した方がいい。
というのが正直な気持ちです。
どんなことでも努力すればできる…なんて
そんなことありません。
それは言葉の使い方が間違っています。
例えば、一つの営業目標を達成するというときに、その達成するための道筋はいろいろな方法があるでしょう。
自分はこういうやり方はできないけど他にやりようはないかな?
と考えるためにはとても役立つ言葉です。
だから生きるためには大切な言葉ですね。
でも今の社会では常識という器量の狭さから、まったく別な使われ方をしています。
ウサギにはカメになれ、カメにはウサギになれ、やってやれないことはない!
みたいな使い方をしているんですよね。
それができないなら努力が足りない…と。
特質上できないことをできるように努力するよりも、ほかに持っている自分の得意なことをどう活かすかに焦点をあてて仕事を選ぶ。
そういう努力をしたほうが絶対に幸せになれるでしょう。
自分を生かせず他人の様になれと言われる仕事より、自分を活かしきれる仕事をする。
それこそ諦めず、努力すればできますよ。
このことを強く言いたくなるのは、わたし自身が社会人になりたてのころから何度も「コイツつかえねぇな~」とういう視線を受けてきたからです。
もうそんなの日常茶飯事でした。
今でもたまにあります。
確かに、のんびりした性格も相まってトロいのでいろいろな場面で迷惑をかけます。
何もしなくていいから邪魔だけはするなと、蚊帳の外に置かれたことも何度もあります。
なんといっても最初に就いた仕事がテレビカメラのアシスタントでしたからまあ大変でしたね。
先を読んで人の空気を読んで事前にテキパキ・・・
同時にいろいろなことを考えるだけではなくて未来予測と自分の体裁きも問われる。
そんなのわたしに出来るわけがない。
こんな風に言ってしまうと、
努力が足りない…
ガマンが足りない…
逃げている…
もっと辛抱しなきゃ…
といろいろな言葉が投げかけられます。
それは、根性なしを忌み嫌う罵声からわたしを思っての叱咤激励まで様々。
怖いやら有り難いやらで頭はパニックです。
過去を思い返して冷静にひとりで文章にしているからこうやって言葉で説明できているだけ。
今でも同じことが起これば、パニックになったわたしはなにも言えず、どんな表情をしていいのかもわからず、結果外から見ると
「なにを考えているのか分からないでくのぼう」
にしか見えないと思います。
例えば発達障害グレーゾーン
例えば、発達障害グレーゾーンという言葉があります。
正直ショッキングな言葉ではありました。
でも「常識」からははみ出した特性・・・「個性」で、どうしても「常識」の輪の中には入れない人はいる。
でも、狭い常識に縛られず広い心や知識で見守ってくれる環境があれば個性として受け入れられて、持っている得意な部分を生かして役には立てるんですよね。
わたしは電話相談の仕事ではプロとして胸を張れるレベルになりました。
アシスタントではなくアシスタントを必要としないブライダルの映像カメラマンとしても10年以上活躍できています。
「使えない人」その認識。
常識という捉え方の世界観の狭さ。
これは実は才能殺しだし人の尊厳を踏みにじる狭い狭い了見です。
発達障害グレーゾーンという言葉は本当にショッキングですが、実際にこのゾーンにいる人たちは
世間から今でも
「それを言い訳にしている」
「結局は甘えでしょ」
なんて言われて苦しんでいたります。
そんな世の中でも自分の得意を生かして自分の居場所を確立できている人たちもたくさんいます。
だからもちろん、世間のせいにしたり、世間に甘えすぎたりするのは違うのも当然の話です。
しかし、こういう人たちに吹く逆風はそれぞれに大変なものなんだという想像くらいはしたいものです。
手塚治虫にイチローになれ、イチローには手塚漫画を書け、努力すればなれる!
って言ってるのと同じことが世の中では自覚なく行われているわけですよ。
ドラマ『ラジエーションハウス』の主人公、唯織は…
唯織は普通のコミュニケーションに難があります。
それでも放射線技師としての腕は天才的です。本当は医師としてもかなりのもの。
そんな彼が子供の頃に幼なじみの杏ちゃんと約束したとおり、技師として杏の前に現れたとき、
杏は…覚えていませんでした!
…というところから始まったこのドラマ。
杏が子供の頃の記憶を思い出すところでクライマックスになるのかな~
なんて想像しながら見守っていましたが、ついに杏が昔を思い出すことなく最終回を迎えちゃいましたね。
だからこそ、新しい約束を交わしたときの唯織の「約束、忘れないでくださいね」のセリフは
とても良い重みのあるセリフになりました。
唯織は笑顔で爽やかに言いましたよね。
この唯織はとても優しいですよね。
そして、とても優しい視点によって生み出されたキャラクターなんだろうなとも想像しています。
唯織が杏に「あの時の僕だよ」と、思い出させようとしないのは杏が過去の記憶に蓋をした理由を
知ってしまったからです。
ボクのことを思い出すと、杏ちゃんはつらい記憶も一緒に思い出しちゃうかもしれない。
そんな思いがあるのでしょう。
杏には父親のことだったり跡取り娘としての気負いだったりと、とにかく今がむしゃらに頑張っている時期ですから昔のことを思い出してもらうよりも今、一生懸命な彼女を応援したい。
唯織の本音でしょう。
彼はそんな思いをひとり胸に秘め、ずっとやってきました。
しかもコミュニケーションが苦手ですから周囲を誤解させっぱなしです。
どらま前半ではとくにその障壁が顕著でした。
しかもその誤解を解こうともしない。
前シーズンのドラマ、『僕らは奇跡でできている』の主人公、一輝(高橋一生)と同じものを感じます。
今回の『特別編~旅立ち~』でも、旅客機に乗り合わせた東和医大の黒川がはじめは敵意のようなものを見せます。
そして、最後には認める。
こういう描かれ方が、作っている人たちの唯織への優しい視点、優しく見守るような視点を感じられるんですよね。
自分とは全く性質の違う別人になることを押し付けられて人の周りにひとりでもそういう人がいれば救われるんですけどね…
現実はなかなか厳しい。
だったら、自分からそういう場所を探す。自分で作る。
わたしたち人間の能力は人それぞれですよね。
個性の分布図を描いたら、グラデーションになっていてもっとも現代社会に適した能力の総合力を中心に人が密集している部分があると思います。
そして、中心から離れていくに従って密集度は薄くなるのだと思います。
その分布図のどこかで線を引かれてその中が「常識」、その外が「使えない人」
さらに極端に外側に行くと自閉症などの診断を受けるような人たちがいる。
その手前には発達障害などいろいろとショッキングな名前を付けられる人たちもいるのですが、常識の輪にも発達障害にも入らない人たちもいるわけです。
そもそも線引きできない世界で線を引くわけですからそりゃあそうですよね。
自分を知る。
それは成長しないとか、向上心を持たないという意味ではありません。
成長をするにも自分が今どうなのか?という現状把握は重要なことです。
だから「使えない」などというレッテルを張られて苦しんでいる人は、
本当に自分がやりたいこと…
本当に自分が幸せになれること…
やっていて苦にならないこと…
楽しいこと…
を、仕事にできるような思考の転換と行動をして欲しいと心から願っています。
あなたの苦手なことだけ要る。そのほかのいいところは要らない。
などと魂の殺人をしてくる。
そんな周囲の圧力に負けないで、さっさと離脱しましょう。
全ての物語のために