ドラマ【ガラパゴス】あらすじ・見応え解説 派遣社員も正社員も他人事じゃないよコレ!
※一部ネタバレ

ドラマ『ガラパゴス』派遣社員も契約も正社員もひとごとじゃないよね…
自分に迫ってくる怖さと面白さがあったよ…
この記事ではドラマ『ガラパゴス』前編・後編の見応えとわたしたちの働き方について考察しています。

わたしも1999年大学卒の就職氷河期世代で新卒入社先で挫折→フリーター→派遣社員→契約社員→正社員→転職活動→昇給…と一通り雇用される立場を経験してきました。
派遣社員だろうが正社員だろうが安心できない現代を生きているのはみなさん共通の不安ありますよね。
ドラマ『ガラパゴス』とは?~あらすじ※一部ネタバレあり
2023年2月にNHKのBSプレミアムで前編・後編に分けて放送されたドラマです。

(C)NHK/テレパック
ドラマ『ガラパゴス』のあらすじ※一部ネタバレ
ドラマ『ガラパゴス』のあらすじ
捜査一課継続捜査班の刑事・田川信一(織田裕二)のところへやってきたのは鑑識課の木幡(桜庭ななみ)。
木幡は鑑識課で身元不明の死者リストの身元を調べるノルマを課せられていました。
田川が暇そうに見えたのか図々しくも木幡は田川に手伝いを求めてきたのです。
やれやれと意外と優しく手伝い始める田川はさすがベテラン刑事。
リスト「903」の男が自殺に見せかけられた他殺だと見抜きます。
いきなり面倒なものを引き当てられてしまった…と思ったのか?
木幡はためらいますが、結局、田川の足を使った地道な捜査に付き合わされることに。
そして田川と木幡は、「903が沖縄出身の派遣労働者・仲野定文(満島真之介)であることを突き止めます。
その頃、警視庁特殊班捜査係の鳥居(伊藤英明)は田川に目を光らせていました。
裏では大手の人材派遣会社ホープネス・ホールディングスの社長、森(髙嶋政宏)と、大手自動車メーカー、ヒラガモーターズの社長、松崎(鶴見辰吾)とよからぬ動きをしているようです。
どうやら田川たちが動き出したことは鳥居たちには不都合なことのようで…
ドラマ『ガラパゴス』再放送の期待
ドラマ『ガラパゴス』はNHKのBSプレミアムで放送されたのは2023年2月。
同じ月に再放送までされています。
今後観れる可能性が高いのは地上波のNHKで放送されるときかもしれませんね。
BSプレミアムで放送されたドラマはのほとんどは地上波NHKでも後々再放送されているイメージがあります。
わたしの肌感ですがあながち間違いでもないでしょう。
織田裕二ファンとしてはその時こそ見逃せません!!
(つまりBSでの放送は2回とも見逃したファンなわけですが…泣)
ドラマ『ガラパゴス』のキャスト※勘の良い人はネタバレ注意
ドラマ『ガラパゴス』のキャストを紹介します。
ドラマ『ガラパゴス』の見応えを作った「表の顔」といえる人たちです。
役名 | キャスト |
田川信一 | 織田裕二 |
木幡祐香 | 桜庭ななみ |
仲野定文 | 満島真之介 |
森喜一 | 髙嶋政宏 |
高見沢紅美 | 泉里香 |
田川里美 | 戸田菜穂 |
松崎直樹 | 鶴見辰吾 |
鳥居勝 | 伊藤英明 |
以上がメインキャストです。豪華ですよね~
他にも…
上地雄輔 野間口徹 東幹久 金井勇太 石丸謙二郎
篠原ゆき子 あめくみちこ 津嘉山正種 ゴリ
…などなど
前編・後編合わせて3時間の力作ですからね。
出演者も豪華です。
ドラマを観慣れている人はキャストを観ただけで
「コイツが犯人だろう!?」
と、すぐに予想しちゃうかもしれません。
そういう意味でキャスト紹介は仮想ネタバレになっちゃったかも。
わたしは織田裕二さんが主演というだけで絶対見ちゃうのですが、
戸田菜穂さんが奥様役だなんて…うらやま…じゃなくて、
それだけでこのドラマの価値が上がっちゃいました♪

(C)NHK/テレパック
ドラマ『ガラパゴス』の見応えをつくったスタッフ
そして、ドラマ『ガラパゴス』の見応えを作り出した裏の…犯人はこの人たち!
原作:相場英雄
原作は相場英雄さんの小説『ガラパゴス』(小学館文庫)です。
WOWOWの連続ドラマWの力作『震える牛』の作者ですね。
しかも『震える牛』も主役は田川信一刑事でした。演じたのは三上博史さん。
つまり、同じシリーズなんですね。
脚本:戸田山雅司
そして、その見応え小説を映像用の脚本に落とし込んだのが戸田山雅司さん。
『科捜研の女』『刑事ゼロ』『相棒』…もうベテランヒットメーカーですね。
演出:若松節朗
でた…。演出は若松節朗さん。わたしの好きな監督さん。
映画『空母いぶき』とか映画『Fukushima50』とか…
つまり…次
ドラマ『ガラパゴス』こんな組み合わせ面白くないわけがない!
若松節朗×戸田山雅司といえば…
WOWOWのドラマWで実話をドラマ化した超見応え作品『石つぶて ~外務省機密費を暴いた捜査二課の男たち~』のタッグですよ。
そして、
若松節朗×織田裕二といえば…
ドラマ『振り返れば奴がいる』『真夜中の雨』 映画『ホワイトアウト』…
ズブズブじゃないですか!(笑)
更に…
織田裕二×戸田山雅司×若松節朗といえば!?
ドラマ『お金がない!』『正義は勝つ』
ですよ~~~!
そう。もうね、そこから始まってるんですよね。
30年来のチームです。
この人たちが3時間の社会派ドラマをNHKで作ったっていうんですよ…
しかもノンフィクションと見まがうほどの調査に裏打ちされた見応え小説を書く相場英雄さんの小説をですよ…
見応え保証を幾重にも重ねた観ない理由のないドラマなんですね。
なんでわたし見逃したかな~~!ホント悔しい!配信に大感謝です。
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ドラマ『ガラパゴス』の背景は日本そのものをネタバレ
ドラマ『ガラパゴス』が面白いのは日本そのものをネタバレしたからだと思っています。
具体的には1990年代前半から2000年代の前半の就職氷河期と言われた時代から2022年までの日本。
そんな日本の経済と雇用問題を背景に描いたミステリードラマなんですね。
ドラマ『ガラパゴス』が描いた派遣社員の問題
1990年代前半から2000年代の前半…就職氷河期。
2000年代前半には「ハケン切り」「炊き出し」なんて言葉が連日報道されました。
社会問題にもなりました。
まさにその頃に社会に出た派遣社員や派遣会社、そして正社員たちの労働問題がドラマ『ガラパゴス』の事件に大きく関わってきます。
殺人事件の犯人を突き止めるのがストーリーの本筋なのは間違いありません。
しかし公務員であり刑事である主人公の田川が派遣社員の労働環境を知っていく過程がメインテーマを表現しているという構造がよくできています。
ドラマ『ガラパゴス』が描いた日本経済
未だに派遣社員に限らず非正規雇用の問題は消えていません。
だからこそ、このドラマも2022年が舞台なわけですが…。
当然、雇用問題はその時代の日本の経済状態が背景になります。
このドラマのタイトル『ガラパゴス』の意味にも直結しますが、矢島健一さん演じる経済アナリストが日本経済がどうなってきたのか?を説明するシーンがあります。
この部分がこのドラマの根幹の根幹でしょう。
日本の大企業神話が、本当はもう壊れているのに政府の援助によって壊れるのを先延ばしされた事実が語られます。
なんとなくはわかってはいたモノの、こうやってわかりやすく語られるとリアルな実感として迫ってきます。
経済や国の情勢にあまり関心を持てていなかった田川とともに、国の現実を突きつけられるような気持ちになります。
ドラマ『ガラパゴス』は正社員の問題も描いている
登場人物の配置上、軸になるのは派遣社員ですが、当然正社員とのコントラストで描かれることになります。
じゃあ、派遣社員が冷遇されていて正社員は待遇が良い…という世界を描いているのかというとそうでもありません。
正社員であっても、最後の最後には会社が守ってくれるわけではないという事実。
そういうことも描いているんですね。
殺人事件を捜査する刑事ドラマではあるけれども、フツーに務めてフツーに暮らしている多くの日本人たちの物語なわけです。
自然と引き込まれ、自分と紙一重の世界のこととして観てしまいました。
派遣から正社員を経験して…わたしの雇用形態ごとの問題と悩み
わたしがこのドラマをどう楽しんだのか?を簡単に紹介します。
フリーターから派遣へ
わたしは1999年に大学を卒業して新卒として就職し東京へでました。
しかし1年足らずでいわゆる都落ち、九州へ戻りました。
ひとまずはフリーターをしました。
昼と夜のバイトの掛け持ち。
これはキツイということで、派遣会社へ登録。
バイトとは時給が全く違います。
それでやっと手取り20万円を超える給料を手にできるようになりました。
20代ならまあまあ人並ですかね。
派遣社員から契約社員
職場は年中無休のシフト制。
勤務する日数も自分で希望した日数は入れました。
なので週休1日にして頑張れば、その分月給は上がります。
月の出社日数が固定されてしまう直接雇用はしばらく拒んでいましたが、派遣法が変わったのをきっかけに契約社員として雇われることになりました。
そうなると、家族も持ち年齢も重ねていくことで、いい加減に正社員にならねば…
というプレッシャーも増えてきます。
しかし、なかなかに壁が高い。
転職活動
新卒で入ってくる若い社員たちはどんどん出世してわたしの上司になっていくのに、派遣上がりの契約社員へ開かれるのは狭き門。
転職も35歳がラストチャンス…なんて噂を聞くと焦って転職活動をしたり…
結局、44歳までの間に3度、転職活動にチャレンジしました。
35歳手前の転職活動は50社受けて全滅。
40歳手前では3社ほど来てもいいという会社はありましが、将来を感じられず断念。
44歳では実績もだいぶあったのと転職活動のコツもわかってきたのか2社だけ受けてあっさり1社内定。
最後の転職活動の直前に正社員にはなれていたことと、結局思うところがあり転職しませんでしたけどね。
正社員とキャリアアップ
契約社員から正社員になるにはかなり高い壁がありました。一度は試験に落ちています。
そもそも試験を受ける権利を獲得するにも高いハードルがある。
なんとかそれを乗り越えての正社員登用。
その後も実績を積みつつ昇級試験のチャンスも掴み今がある…といった感じです。
今そこにある危機
どこの会社の従業員も感じているんじゃないでしょうかね?
正社員だって安定なんてしていない。
トップ数パーセントのやり手の社員ならまだしもフツーの社員なんてすぐ目の前に失業のリスクはあるはずです。
だから、なんとかしなきゃと会社に一生懸命しがみついたり副業をしたり、いろいろと模索をしていますよね。
一歩違う選択をしていたらこのドラマの登場人物になりえる。
それが現代日本の労働者の現実です。
こういう時代だからこそ、今このドラマが制作されたのは必然だろうなと思います。
よくぞこのスタッフ&キャストで作ってくれたなと嬉しかったです。
絶対に見応えのある作品にしてくれるチームですからね。
※一部ネタバレ ドラマ『ガラパゴス』見応えまとめ
ドラマ『ガラパゴス』に登場した派遣社員はひどい冷遇を受けていました。
わたしは幸いなことにそんなことはありませんでした。
現場は派遣と正社員を態度で差別することはありませんでした。
雇用条件としての区別は歴然とありましたが、少なくとも現場の仲間はみんな平等。
でも、ドラマのように差別を受けていた人たちも現実にたくさんいることは他の派遣会社から来ていた人や、他の職場を経験してきた人たちからは何度か聞いたことがあります。
なので、ドラマで描かれたことも決して絵空事ではなく現実なのでしょう。
実際にニュースで流れる悲惨な事件を観ていると、
結局は『職場』『仕事』『収入』が問題で抱える人間関係や
精神的な鬱屈が原因になっていることがほとんどですよね。
日本経済がどのような道をたどってきたか?
労働者がそんな中でどう生きてきたのか?
それを知ることは、
「じゃあこの現実をどう変えていけばいいのか?」
を考えるスタート地点でもあるのでしょう。
このドラマ『ガラパゴス』は本当にリアルな見ごたえのある無視できない物語でした。
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